土地の共有者が死亡し相続人等がいない場合の相続税法上の取り扱い

今年のヤマ当て講義で時間の都合上説明を省略したものをもったいないので書いておきます。

問 相続税法における課税上の取り扱いを答えなさい。
  令和4年4月4日に甲は死亡した。
  なお、甲とAはZ土地(時価9,000万円)を持分1/2ずつ共有している。
  甲には相続人及び包括受遺者はおらず、特別縁故者もいない。

答 Z土地の甲の持分に対応する金額4,500万円について、Aは甲から遺贈により取得したものとみなされ相続税が課税される。
  根拠法令:民法255条、相続税法第9条(理論サブノート2-3[3])、相続税法基本通達9-12

解説
これは去年の夏頃にお客様から質問されて調べた内容が元ネタです。(2次相続・3次相続・4次相続で土地が細分化され、共有者に相続人がいなかったらどうなるのか?といった質問です。)
被相続人に相続人等が不存在の場合には、その遺産は最終的に国庫に帰属することとなります。
なお、共有の財産については、民法255条により共有者に帰属することが定められておりますので、本問のZ土地の持分1/2は共有者であるAに帰属することとなります。
また、この場合の相続税法上の課税関係は相続税法第9条(理論サブノート2-3[3])が適用されますので、Aは甲のZ土地の持分に対応する金額4,500万円について、遺贈により取得したものとみなされ相続税が課税されることとなります。
小規模宅地の特例の適用関係については不明確なところではありますが、相続税法第9条により課税が行われており、対応する通達も見当たらないため、適用できないのではないかと思います。

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この記事を書いた人

中込 雄一のアバター 中込 雄一 税理士

3児の父親で池袋で税理士をしています
最近はまっているのは娘の写真を撮ることとギターを弾くこと
元税理士受験の非常勤講師(相続税法)で元V系バンドマンです。

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